大野綾子《ねがう人、たてる人》2017年 1300×3600×600mm 砂岩 梱包・輸送・展示仕様書
梱包
高密度ポリエチレン不織布(タイベック)など、作品保護に適した柔らかな材で包み、さらにその上からエアキャップなどで梱包し、木枠で全体を固定する。木枠と作品の間には、必要に応じて抑え用のポリウレタン緩衝剤などを挿入し、安全に輸送できる状態を確保して最終固定する。
輸送
輸送時、移動に起因する作品の損傷(剥落や擦れなど)を防ぐため、作品を収納した木枠は天地顛倒無用とし、可能な限り梱包時の状態を保ったまま輸送する。
展示
3.1 基本情報
「タイムライン」展のように、展示ケースの中に作品を展示する場合には、展示台を養生し、三又とチェーンブロックで吊り上げた作品をその上に徐々に降ろし、場合によってはスライドさせながらゆっくり着地させる。基本的には下図の二箇所で吊る構造となっているが、「タイムライン」展では、展示ケースの構造上、一箇所で吊り展示を行った。


通常の吊り位置

「タイムライン」展の吊り位置

「タイムライン」展 展示時
展示位置が鑑賞者の足元にある場合、歩行時に足が当たるなどして、作品転倒や怪我のリスクが高まるため、展示時には展示台などを用意し、少し高さを出すことが推奨される。
作品は野外でも展示可能である。ただし、作品を設置する場所としては平坦な場所を想定している。起伏のある土壌の上に設置すると転倒する可能性があるため、野外に展示する際には、小石や雑草などを除去し、可能な限り土地をならしてから作品を設置する。
作品は床面に対し3点つく構造である。中央部底面にホゾがあり、心棒を挿入し固定する。また、作品頭部・脚部底面にも作品固定用の小穴がある。鑑賞者の接触などによって作品が回転・ずれることが懸念される場合には、これらの穴も使用して作品を固定することが可能である。
3.2 必要人員
3.2.1 輸送用トラック等から展示空間内への作品移動時
「タイムライン」展の際には男性4人が対応した。重量のある作品であるため、十分に力のある者が3-4人で対応することが望ましい。
3.2.2 作品の展示台上への移動・設置
三又を用いて、作品を吊り上げ、所定の位置に下ろす際に、最低3人(可能であれば4人)の人員が必要である。作業の配分は、作品を釣り上げる者1人、作品を支える者2人、作品を展示台上の所定の位置に設置する補助者1名とする。
3.3 作品の取り扱いに関する追記
作品表層に損傷や変色が発生しないよう、取り扱い時にはプラスチック手袋(ゴムもしくはニトリル製)などを装着する。
展示する際には、表面の擦れなどを防ぐため、作品が直接床面に接触しないように場合によっては養生を行う。「タイムライン」展では、切り出して造形した鉄板を頭部と脚部底辺二箇所に設置している。
RECORD
- シンポジウム Vol.1 タイムライン展解題——制作・展示・作家からの声を中心に
- 井田照一《Tantra》未公開作品(調査作品)
- シンポジウム Vol.2 タイムライン展をふりかえる——現代美術の保存・修復・記録をめぐって
- 加藤巧《To Paint (heavy metal) #01》と《〈To Paint (heavy metal #01)〉を記述する》について
- 「タイムライン」展 大野綾子作品の搬入・搬出・展示
- 大野綾子《ねがう人、たてる人》2017年 1300×3600×600mm 砂岩 梱包・輸送・展示仕様書
- 「タイムライン」展 搬入記録映像
- 「タイムライン」展 井田照一作品展示替え記録映像
- 「タイムライン」展 搬出記録映像
- 会場マップと配布テキスト
- 田口かおり × 加藤巧「タイムライン」展についての往復書簡
- サテライトイベント「作りながら保存すること——タイムライン展の事例から」
- this and that 『STAYTUNE/D』『タイムライン——時間に触れるためのいくつかの方法』記録集刊行記念トークイベント「綴じて、開く。——記録集のためのいくつかの方法」
- 大野綾子さんインタビュー
- ミルク倉庫+ココナッツ、梶原あずみさんインタビュー